多剤併用者のリスクを低減する
一包化包装のあり方
複雑な薬の服用方法
多剤併用者とは、複数の異なる薬を恒常的に服用している患者さんを指します。定義にもよりますが、少なくとも3〜5種類の薬を服用していることが想定されます。最近のドイツの人口調査(2021年3月)では、平均して4人に1人が多剤併用者で、その割合は年齢とともに増加することがわかっています。
複数の異なる薬を服用する必要があることに加えて、望ましくない多剤併用も発生することがあります。原因は、治療担当者間のコミュニケーション不足や投薬計画の欠如です。
必要であっても、望ましくないものであっても多剤併用には常にリスクが伴います。薬の数が増えて服用方法が複雑になればなるほど、服薬遵守率は低くなります。また、多剤併用は、非特異的な副作用や、関係のない症状と誤認される不定愁訴を引き起こす可能性があります。そのため、多剤投与の結果、入院することになる場合もあります。ドイツだけでも、回避可能な投薬ミスによる入院は約25万件に上ると考えられます。
多剤併用のリスクを防ぐ
(望ましくない)多剤併用のリスクに対抗し、予防するために、一包化包装が役立ちます。一包化包装を使用すると、患者の投薬スケジュールは薬局で一元的に管理され、変更は医師、薬剤師、ブリスターセンターの間で直接伝達されます。そのため、患者さんの全体的な服薬状況を把握することができ、望ましくない多剤投与を防ぐことができます。
さらに、一包化包装は、曜日と時間による正確な服薬を提示するため、複雑な服薬を簡素化します。これにより、薬の数が多いにもかかわらず、正しい服用が保証されます。患者さんの服薬遵守率と安全性が向上し、多剤併用による回避可能な投薬ミスを減らすことができます。
このように、一包化包装の工程の流れは、一種の品質保証の役割を果たし、多剤併用のリスクを低減し、望ましくない多剤併用を防止するのに役立ちます。
出典:
ABDA. (5. Mai 2021). Faktenblatt – Polymedikation. https://www.abda.de/aktuelles-und-presse/faktenblaetter/.
DEGAM. (28.05.2013). Hausärztliche Leitlinie – Multimedikation – Empfehlung zum Umgang mit Multimedikation bei Erwachsenen und geriatrischen Patienten. https://www.awmf.org/uploads/tx_szleitlinien/053-043l_S2e_Multimedikation_2014-05-abgelaufen.pdf.
Bundestag, D. (21.02.2018). Drucksache 19/849. https://dserver.bundestag.de/btd/19/008/1900849.pdf.
※海外の情報を掲載しています。すべての内容が、日本にあてはまるものではありません。
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