在宅介護の薬剤は問題か?問題ではないか?
介護する家族に選ばれるシステム
患者さんや高齢者の多くは、買い物や家事から、必要な薬(多くの場合、同時に5種類以上)の準備や管理までを自宅で近親者に世話をしてもらっています。こうした介護者のほとんどは訓練を受けた医療専門家ではなく、家族の世話や仕事と並行して介護を引き受けています。
Center for Quality in Nursing (ZQP)は、これについて、主な課題と可能な解決策に関する興味深い洞察を発表しました。本報告書では、ドイツ国内の1,000人以上の家族介護者を対象に調査を行いました。
ドイツの現状
日常的な介護が必要で、複数の薬に依存している近親者が自宅にいる人は、多くの課題に直面しています。介護する人は、薬局で処方薬を調剤してもらうだけでなく、使用方法や副作用の情報を要介護者に伝え、錠剤ディスペンサーなどで「投薬」の管理を行わなければなりません。今回の調査では、約4分の3の人がこうした仕事を日常的に行っていました。投薬プロセスに複数の人が関わることがあるため、誤解やミスが生じる可能性があります。調査対象者の77%が問題を報告しています。
同時に、家族介護者は、患者さんに薬の情報を伝えるだけでなく、薬が(正しく)服用されたかどうかを確認することにも特に難しさを感じています。患者さんの多くは、時間通りに薬を服用するように常に注意を促す必要があります。この調査では、服薬のタイミングを間違える(36%)、投与量を間違える(19%)、期限切れや紛失により薬を飲めない(22%)などの問題が挙げられています。ZQPのCEOであるRalf Suhr博士は、「服薬のタイミングや投与量など正しい服薬に責任を持つことは重大な問題です。要介護者が、握ったり飲み込んだりすることに問題があったり、薬を忘れがちであったり、飲みたがらなかったりすると、特に困難が生じます。これがストレスとなり、介護者の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるのです」と述べています。
エラーの防止
医薬品の安全性は、要介護者の健康にとって極めて重要です。「さまざまな薬を組み合わせて長期間服用すると、問題が発生する可能性が高くなります。そのほかにも、ストレスや有害な相互作用のリスクがあります。そのため、特に高齢化が進んだ社会では、投薬ミスを防止することが保健システムにとって不可欠なのです」とZQPは述べています。
在宅医療における解決策としては、患者さんや介護家族が適切な薬剤を適切なタイミングで投薬するための患者専用の個別薬剤包装の使用が考えられます。自動的に集められ、ラベル表示された袋には、曜日と時間ごとに服用すべき錠剤が入れられ、明記されています。袋は簡単に開けることができ、個別に手渡すこともできます。このサービスは、投薬ミスを大幅に減らすことができると同時に、既存の薬局にとっては、医療サービスの提供者として位置づけられ、アドバイスのスキルを高め、顧客ロイヤルティを向上させる機会を得ることにつながります。
出典:
https://www.zqp.de/medikamente-pflege-angehoerige/
https://www.zqp.de/medikation-haeusliche-pflege/
https://www.zqp.de/wp-content/uploads/ZQP-Analyse-Medikation.pdf
※海外の情報を掲載しています。すべての内容が、日本にあてはまるものではありません。
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